前編はこちらから
「喰種」を駆逐する国家機関「喰種対策局(通称CCG)」の一等捜査官(上から四つ目くらいの役職)「旧多二福(ふるたにむら)」
前回は旧多初登場シーン、余りにも怪しく、わざとらしいモブっぷり、そして第一部(通称`無印、)で既に登場していた事実までを紹介したが、今回は後半。
そのサイコパスっぷりについて書きたい。
社会的地位も高く、人間たちを欺いてきた喰種一族、「月山家」(通称「ロゼ」)駆逐作戦でCCGが月山家を追い詰める単行本第5巻。
ボロボロと駆逐・捕縛されていく月山家の主人、召使達。
一族の跡継ぎである月山習を逃がすために執事の松前とマイロがCCGの猛者「伊丙 入」(←作中最強キャラ有馬貴将と同じ出身【通称「庭」】と目される謎キャラ)、「キジマ式」と対峙する。
そのシーンでキジマ、伊丙の後ろで心配そうに立ち尽くす旧多。とてもじゃないが生き残るキャラには見えない。
しかし、既に旧多が怪しくて仕様がないファンたちはこういった旧多の小物アピールは石田スイ先生お得意のミスリードだと決めて掛かっていた。
そして、大半の作者の予想を裏切り、作中最強キャラ有馬の直系である伊丙と、外伝にも登場するほど注目されたキャラであるキジマはあっさりと敗北してしまう。
特に伊丙はCCGの闇の一環である「庭」の謎を残したままの死亡・退場。美少女キャラにはあまりにも酷な最期を迎え、伏線の一部となってしまった。
キジマ式最期のシーン。「チーズが食べたい」という台詞から石田先生のセンスを感じる。
焦る旧多。
しかし。
作戦の責任者である宇井特等と通信(?)し、キジマを見下ろす旧多。
この表情から途端に怪しさが増してくる。
そして…。
松前、そして月山習のために犠牲となったマイルの決死の攻撃で勝機を得、伊丙とキジマを撃破した松前。後は主戦力以外を倒せば月山習の元へ駆けつけることが出来る。
(ちなみにこの月山家掃討作戦はどう見ても正義の月山家と悪のCCGという図式にしか見えない程に、月山家の喰種はナイスガイ揃いでCCGはクズが多い)
颯爽と攻撃態勢を整える松前、勝ち目が無いながらも迎え撃つ一等捜査官の岡平。
この岡平から旧多は背後での待機を命じられるが…。
「はい」という一言と共に味方であるはずの岡平を松前の刃に晒す旧多。(←しかも多分意味が無い行動。こんな事をしなくても普通に戦わせた方が旧多としては有利だったはず)
「ど、どゆこと」が最期の台詞となる岡平。
もうひとりの味方もテンパッて「なにをやってる?!」と叫ぶが、旧多から出てくる言葉はこれ以上ない程に薄っぺらい「すみません」。
「仲間を盾にするなど…敬意はないの」と松前が怒りを露わに(月山家は誇り高き紳士淑女の一族なのだ)攻撃してくるが、薄ら寒い笑顔で「はい?」とだけ答え…
「いやいや」と松前の目を躊躇なく攻撃、視力を奪う。
「実際に殺したの、あなたですからね(←読者視点で見ると絶対違う。盾にしなければ多分あんな死に方はしなかった。)」「誇り高げに生きてらっしゃるようですが、どんなに綺麗に繕っても 所詮ね、人殺しの人喰いでしょ?君たち」と今までのビビリモブキャラからは想像つかない様な存在感とサイコ感を遺憾なく発揮しながら松前ににじり寄る旧多。手にはキジマのチェーンソー型クインケ。
そのまま躊躇なく松前を殺害する旧多。
「ごめんね、MMさん」と呟きながら。
…と、ここまでで現在発刊中の単行本は終わっています。
ここからは本誌派の方以外はネタバレ要素、考察を含みます。
いいですか?
それでは。
この後、旧多は岡平を犠牲に松前を駆逐したシーンを目撃した同僚を惨殺。
(恐らく宇井特等との到着時間確認の通信は、現場の人間を皆殺しにするための時間を確保するための確認か、もしくは通信などしていなかったかどちらかと思われる。)
駆けつけた宇井特等に虚偽の報告をした上に(ちなみにここで宇井特等の思い出描写が入り、電車男というアダ名がファンの間で定着する)、CCGの喰種運送車両の情報をアオギリの樹にリークし(※たと思われる描写がある)、襲わせる。しかもその場面を高所からドナドナを歌いながらニヤニヤと眺めている。
そして、本稿アップ時点でのヤングジャンプ最新号では記憶が戻りすっかり悪役の面構えと立ち振舞になった佐々木准特等(金木)とコンビになり、小説家高槻(アオギリの樹、隻眼の梟であるエトの人間としての顔)の元へ捜査に訪れる。
…と、いった経緯の上で、現在旧多はモノホンのサイコパスとしてファンの間で注目されている。
さて、既に東京喰種の熱心な読者はお気づきと思われますが、上記の「MMさん」とは、喰種が人間を競り落とし、殺害されるシーンを楽しむ謎のレストランで月山習が名乗っていた名前です。(単行本四巻、月山が主人公金木をレストランに食材として提供するエピソード「晩餐」参照)
「ごめんね、MMさん」が、(恐らく顔なじみである)月山の従者を殺してしまう事に対しての(薄っぺらい)謝罪の台詞だとしたら、月山を「MM」と認識している時点でこのレストランに出入りしていなくてはいけません。つまり、この時点で旧多が喰種である可能性は高い。
また、旧多のこの悪びれない、非常にタチの悪いノリは謎の喰種集団「ピエロ」を思わせる。
レストラン編で月山と顔見知りとして登場していたのは「PG(=「ピエロ」所属の宗太)」
以上の条件から、旧多=宗太説が現在ファンの間で濃厚だ。
もし旧多が宗太だとしたら、無印最終巻で金木が喰種になってしまう原因が宗太と発覚しているため、彼は今後も物語で重要な鍵を握る事になる。
また、旧多は「V」のメンバーでもあるという説もあり、現在最も謎が多いキャラクターです。
旧多、超注目キャラです!
蛇足ですが、旧多=宗太だとしても、「喰種のふりをした人間」説が通説です。
理由として
・CCGの捜査官になるには例え「ピエロ」や「V」の権力を持ってしても周囲を誤魔化しきれない事。
・「ピエロ」のポリシー、存在意義が「とびきりタチの悪い冗談を吐く」「最後に笑う」としたら、メンバーに人間がいる(喰種以外が在籍している)ことに矛盾はない事。
・喰種は相手が人間か喰種か匂いでわかる事。
以上の説があります。
「re:」単行本5巻巻末にて
無印で董香に話しかけられた際のエピソードの裏側が描かれていますが、ここでは旧多は董香を喰種だと見抜いています。しかし、董香は旧多が喰種であることに気づきません。
恐らく、旧多は「人間か喰種か見分ける事が出来る人間」なのではないでしょうか?(寄生獣の浦上を連想させます。)
生来か後天的なものかは不明ですが、喰種と人間を見分ける事が出来、人殺しに躊躇がない、新しい形のサイコパス「旧多」に今後も注目していきましょう!
以上!後編でした!
【お詫び】今回の写真も愛ゆえに全て中野が家の単行本を写メりました。
お見苦しい写真と思いますがご容赦ください。
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