あ……ありのままつい最近起こったことを話すぜ。
「俺はメイド喫茶に行ったと思ったら、いつの間にかキャバクラに迷い込んでいた」
な……なにを言ってるかわからないと思うが、俺も何をされているか分からなかった……。
こんにちは!Article coneQtのおふざけ担当・天照ひかるです。
いつもと違う始まり方で戸惑われた方もいると思いますが、
今回は私が体験した世にも恐ろしい(?)メイド喫茶についてのお話しをしたいと思います。
思えば最初から不穏な空気はあった
私が住んでいるのは東北でも田舎の方で、最寄りのアニメイトまではバスと電車で1時間ほど。
アニメ関連のショップはおろか大型の書店もほとんどなく、ヲタクには少々厳しい環境です。
しかし、そんなヲタク過疎地である我が田舎になんと!メイド喫茶が出来たとの情報が。
実はワタクシ、一時期はポイントカードで財布をパンパンにしていたほどのメイド喫茶好きでして。
これは是非とも取材したい、と意気込んでArticle coneQtの編集・S氏に相談したところ、
「女子目線のメイド喫茶レポ、いいですね!」とあっさりOKを頂くことが出来ました。
そこでまずは撮影許可を取るためお店のHPを検索したものの、内容がスッカスカ。
メイドさん数名の名前が載っているだけで、顔写真はおろかメニューの値段すらありません。
しかも最終更新は今年の1月、どこを見ても連絡先すら書いていないという有様。……怪しい。
この時点でかなり嫌な予感はしたものの、ちょうど近くまで行く用事もあったので、
ついでに偵察してこようと気軽な気持ちでお店に向かうことにしたのです。
メイドは見た目ではありません
情報がスッカスカの無料ブログを頼りに何とかお店の前まで辿り着くと、
いかにもメイド喫茶っぽい手作り風の看板が迎えてくれました。おー、ちゃんとあった!
詳しい店名はここでは伏せますが、名前もメイド喫茶らしくポップで可愛らしい感じです。
1階には不動産屋、2階には居酒屋が入った雑居ビルの3階がお目当てのお店ということで、
不安と期待で胸をドキドキさせながら階段を上ります(エレベーターは故障中でした)。
そしてついに、店の扉を開けると……!
「おかえりなせいませぇ~ご主人様ぁ~」
パッと見ただけで分かる夜のお仕事風バッチリメイク、染めすぎて痛んだロングの茶髪。
酒焼けなのか?やたらセクシーなハスキーボイス。推定年齢36歳のメイドさんがお迎えしてくれました。
いや、メイドさんも色々なタイプの方がいらっしゃいますからね。見た目で判断してはいけません。
そう自分に言い聞かせながら、彼女の上から下までじっくりと観察してみると……、うん?
このメイド服、どこかで見たことがあるような……。
めちゃくちゃお手軽な値段で買えそうな薄い生地といい、やたらと存在感を放つデカリボンといい……、
分かったー!某有名なディスカウントショップのパーティーコーナーで売ってるやつだ!
メイドは見た目ではないし、メイド服は値段ではありません。
しかし、露骨に漂ってくる夜の匂いに私はもう入口でUターンしたい気持ちでいっぱいでした。
目の前にいるメイドさんも「何故ここに女性客が来るのか」と不思議な表情をしています。
もう取材は諦めて帰ろう……そう思った次の瞬間、中から黒い服を着た中年の男性が出てきました。
「お1人ですか?」否定する間もなく、明らかに怪しげな店内に引き込まれます。
中には先客と思しきサラリーマン2人組と、職業不明のTシャツ短パン姿のおじさんが1人。
内装は想像した通り、テーブルの配置からお酒のずらりと並んだカウンターまで夜のお店そのもの。
奥の方には、円形のステージとカラオケセットが備えられていました。
黒服の男性にメニューを渡されたので恐る恐る開いてみると、意外にもお絵かきオムライスやパスタなど、
普通のメイド喫茶らしいメニューが並んでいます。よく見てみると、壁には『メイドさんとチェキ!』の文字。
店構えとメイドさんのクオリティはともかく、サービスは一応メイド喫茶寄りのようです。
間もなく運ばれてきたオムライスには、36歳(仮)が無造作に「LOVE」と走り書きしてくれました。
お絵かきとは一体……。
お待ちかねのショータイムのお時間です
しばらくすると「ショータイムのお時間です!」の掛け声とともに、
36歳(仮)とどこからともなく現れたセーラー服の店員さん(推定年齢38歳)がステージへ。
1曲目は薬師丸ひろ子さんの『セーラー服と機関銃』、2曲目は小林明子さんの『恋に落ちて』。
絶妙な選曲に盛り上がりを見せる店内。いよいよ身の置き場のなくなってきた私は、
必死でオムライスの残りを掻き込んで足早にお会計へと向かいました。
「ありがとうございまぁ~す。合計で3900円になりまぁ~す!」
オムライスと水で3900円って……!『ぼったくり』というワードが脳裏を過ります。
しかし、ここがメイド喫茶ではなくメイド風キャバクラだとしたらこの値段が相当なのかもしれません。
『メイド喫茶』という名前につられてノコノコやってきた私が悪いんです。
こんなド田舎にメイド喫茶なんて最先端のアミューズメントが出来るはずなかったんですよ。
あまつさえ、それで記事を書けたらラッキー!だなんて完全に私が間違っていました。
結局は何の収穫もないままメイド風キャバクラもどきに3900円を出し、
片道1時間をかけて家へと帰る羽目になったのでした。
……しかし、後日この話を編集S氏にしてみたところ「YOU、それ書いちゃいなよ!(要約)」と、
面白がって貰えたので結果オーライと言えなくもないかもしれません。
今回の経験から私が言えることはただ一つ。
『メイド喫茶の看板が出ていたからって、中身もメイド喫茶だとは限らないから気を付けろ!』