【流行りも今更も】coneQtが選ぶ「このマンガがヤバい」Vol.1「刻刻」

※ネタバレ有り、ご注意!※

 

始まりました。今日から定期的にArticle coneQtが独自の視点でヤバイと思った漫画を紹介していくこのコーナー。

第一回目は2014年に連載終了、全8巻の単行本を刊行している堀尾省太による「刻刻」。

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佑河樹里はニートの父・兄と隠居の祖父、母、シングルマザーの妹と甥と共に暮らしていた。ある日、甥と兄が幼稚園からの帰路の途中で誘拐され、犯人から樹里・父の元に身代金要求の電話が掛かってくる。犯人の要求する身代金の受け渡し期限までは30分しかなく、間に合わないと悟った樹里は犯人と刺し違える覚悟で2人の救出へと向かう決意をするが、その時、祖父が佑河家に代々伝わるという止界術を使い、時間を止めてしまう。人も物も森羅万象が止まった止界で樹里たちは2人の救出へと向かうが、向かった先で自分たち以外の動く人間たちに遭遇、急襲される……。

Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%BB%E5%88%BB)より

 

「刻刻」はズバリ「止まった時の中で敵と戦い、困難を切り拓いていく物語」なのだが、テーマや伏線に反して淡々と、時にコミカルに物語は進む。

主人公の一家である佑河家が「事なかれ主義の(いろんな種類の)ダメ人間一家」だからこそ、一見凄惨な事態に陥りがちな窮地があまり悲壮感を感じさせない。

また、登場人物たちが合理的かつ人間臭い(実際にこういう状況になったらこう判断するよなぁ、やっぱ割りきって考えたらこうだよなぁ、と思わされる台詞や展開が多い)のである意味物語が敵味方依らず客観的に描かれるのも非常に興味深い。絵柄や心理描写のタッチが、寄生獣を思い出させる。(←最強の褒め言葉)

 

 

止界の中で止者に対して殺意を抱くと現れ、止者を守るために対象の頭部を潰す「管理人(教義上は「神ノ離忍(カヌリニ)」と呼ばれる)」の存在も物語を複雑化させるが、登場人物たちは常に冷静に事態を観察・解決させていく

 

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また、物語の転換点として、主人公一家から止界術に必要な本石を奪うために戦いのきっかけを作った宗教組織「真純実愛会」の宗主である佐河が「管理人」の力を利用し始めた所だが、「刻刻」のキモは、主人公一家が止界の中において有利となる強力な能力を備えていて(祖父は止界術の正統後継者で、最初から止界内で瞬間移動が出来る、主人公の樹里は触れるだけで止界から追い出す術に目覚める、甥のまことは「管理人」を意のままに操れる様になる、等)敵のラスボスである佐川はどちらかというと「主人公チームが強すぎたからどうにか強くならざるを得ない」感じでパワーアップしていく。

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とにかく主人公一家が強い。敵もチンピラの癖にやたら賢くて合理的な奴とか宗教家だけどメッチャ凶暴な奴らとかが利害の一致で共闘して頑張るけど能力的に相当不利。だからすぐ寝返ったりする。

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そして、そんなチートで理不尽な主人公一家と張り合うために一生懸命頑張るラスボス佐川と、時に真面目に時にコミカルにピンチとチャンスを繰り返す主人公一家に一進一退の攻防の末に、読者の予想を超える結末が…。

 

中野的2014年のベストである「刻刻」是非手に取ってみてください!

単行本第1巻の帯では水木しげるが80点(同氏の近年最高点)と点数を付け賛辞を送っている。また、第2巻の帯では小説家の伊坂幸太郎が「最近、『何か面白い漫画ありますか?』と質問されると、まっさきにこの作品のことを口にします」とコメントしている。

Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%BB%E5%88%BB)より

玄人好みな漫画ですが、間違いなく傑作です!


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